児童心理療育施設 桜学館

児童心理療育施設 桜学館
(児童心理治療施設)

桜学館は心理的(情緒的)要因により集団になじめず不登校やひきこもり等の状態になった子ども、いじめ等により心理的困難にぶつかっている子ども、友人関係や親子関係がうまくいかない等で悩んでいる子どもたちに心理療法、生活治療及び学校教育による総合的な支援を行う、医療・福祉・教育が一体となったところです。

メッセージ

ご家族の方へのメッセージ

私たち人間を取り巻く世界は、日に日に目まぐるしく複雑に変動し、生きにくい世の中と言われています。成長途上にある子どもにとってはなおさらです。成長過程のどこかで、壁にぶつかったり、つまずいたりしても不思議ではありません。そんな時、家庭で見守っていくということも大切ですが、少し距離をおいて第三者の手助けを得ることも効果的です。
医師、セラピスト、指導員、そして教師が連携をとり、子ども達にあったペースで、本来の自分を取り戻すお手伝いを目指します。
また、子ども達への適切な関わり方、家族支援、家庭環境の調整を行います。

児童心理療育施設 桜学館基本理念

児童福祉法に基づく児童心理治療施設として、さまざまな情緒的な困難を抱える児童に対して、
総合環境療法に基づき、入所及び通所による治療を行う。

生活治療・心理治療・学校教育が連携をとり、福祉,医療、教育が一体となった機関として、次のようなことを保障してゆく。

1、基本的人権の尊重、人としての尊厳にふさわしい生活の保障。
1、情緒の安定と自己意識の保障。
1、個別性への援助、人格形成、自己実現の保障。
1、健全な集団との関係の保障。
1、主体的選択の保障。
1、意見表明権の保障。
1、教育を受ける権利の保障。
1、健全な親子関係、家族関係を形成・保持することのできる保障。
1、社会生活への準備と参加の保障。

基本方針

1、安定した学館運営。
2、子どもの基本的人権と主体性を尊重した支援。
3、児童心理治療施設としての特性を生かした治療プログラム。
4、児童と老人の交流事業の促進。
5、働く意欲のある職場作り。

桜学館のご案内/桜学館概要

2005年6月1日に、児童心理治療施設「桜学館」を、岐阜県関市に開設しました。
当施設は、岐阜県で初めての施設です。
子ども達が親元を離れ職員とともに生活をする場合(入所)と、親元から施設に通う場合(通所)の受け入れをしています。
「桜学館」の大きな特徴は単に生活する施設ではなく、心理治療も受けられる施設であり、敷地内に学校(地域の学校の分級)があります。

治療について

「桜学館」には、いろいろな役割を持ったスタッフがいます。それぞれのスタッフが、お互いのつながりを意識しながら連携をとり、病院や学校にはない「家族モデル」を念頭においた関わりをもちながら治療を行う治療施設です。
治療の内容としては、主として、以下の二方向からすすめていきます。

心理治療

担当のセラピストと個別に面接をします。一緒に遊んだり、いろいろな話をしたりしながら、自分らしさを取り戻し、成長していく援助をします。

生活治療

毎日の基本的な生活習慣と規則正しい生活を大切にし、ひとり立ちをしていくために必要なさまざまな課題が身につくようにお手伝いしていきます。

学校の特徴

児童の個性を尊重しながら、情緒の安定と学力の伸長を図ります。また、社会生活に必要な基礎的な能力を身につけ、たくましく生きようとする児童生徒を育成します。
 学習では、通常学校のカリキュラムを基本として、教材や教え方に工夫を凝らし、それぞれの子どもの習熟度に合わせて、小グループまたは個別によるきめの細かい支援をします。また、仲間とふれあいながら楽しく活動できる体験的な学習も行います。

施設概要

心理治療も受けられる施設であり、敷地内に学校(地域の学校の分級)があります。

情短棟

緑豊かな自然に囲まれた環境の中で過ごせます。

定員 入所48人、通所10人
構成 1ユニット12人×4
[風ユニット・虹ユニット・光ユニット・空ユニット]
部屋 居室:4人部屋×2室、2人部屋×1室
個室:2室
食堂、デイルーム、キッチン、浴室、洗面、トイレ
施設概要 会議室、心理療法室、心理検査室、プレイルーム・観察室・相談室、工作室、医務室、静養室、家族室、面会室,事務室、施設長室、宿直室

学習棟

地域の学校の分級です。

定員 教48人
構成 複式学級
教職員 生徒8人に1名
教室 一般教室×6、コンピユータ室、作業室、図書室

社会福祉法人岐阜県共同募金会様から配分金をいただき、桜学館グラウンドに防球ネットを設置しました。子供たちはグラウンドからボールが飛び出すことを気にすることなく、元気良く遊んでおります。

桜学館の一日

治療を受けながら、隣接の学校(関市立桜ヶ丘小学校分級・関市立桜ヶ丘中学校分級)に通います。

1日の流れ

  • 7:00~

    起床

  • 7:30

    朝食

  • 8:30

    登校・始業
     授業
  • 12:00

    昼食
     授業
  • 15:00

    下校
     あそびクラブ
     スポーツクラブ
     セラピー
     自主学習
  • 18:00

    夕食
     入浴
     だんらん
     子ども会議

    規則正しい生活をし、健康的な生活習慣を身につけながら、その他の時間は余暇時間としてそれぞれ学習や友達との遊びなど自由に過ごしています。

  • 22:00

    就寝(中学生)

  • 21:00

    就寝(小学生)

平日は、敷地内にある学校へ登校して授業を受けます。登校してないお子様は職員とミニスクールとして学習を行ったり、のんびり過ごします。
個別対応や治療が適宜組み込まれます。
休日の外出や自宅への帰省については、本人・ご家族の希望、状況を配慮した上でご相談いたします。

施設内の紹介

天然木をふんだんに使った内部は落ち着いて過ごせます。

壁やドアなどにも、明るく楽しいデザインがされています。

卓球や室内の簡単なスポーツもできます。

食事や休憩のお茶はみんなで楽しめます。

地域の学校の分級です。

個室は明るく快適に過ごせます。和室もあります。

ここでは、プレイセラピーを実施しています。

レクリエーションや軽い運動をするのに広いロビーがあります。

行事予定

全体としての行事だけでなく、各ユニット毎に計画して楽しいレクリエーションがいっぱいあります。

  施設 学校
4月 お花見バーベキュー 入学式・始業式・避難訓練・校外学習(花見・公園)・検診検便身体測定
5月 子どもの日、苗植え、Yリーグサッカー大会 検診・身体測定・校外学習(金華山)
6月 親子ボーリング大会 避難訓練・原籍校連絡会・予防接種
7月 七夕会、一泊キャンプ 安全点検・大掃除・終業式
8月 ほほえみ夏祭り、ソフトボール大会 始業式・保護者懇談会・避難訓練・校外学習(陶芸教室)・安全点検
9月 お月見会、芋掘り 視力検査・校外学習(陶芸教室・金華山登山)・原籍校連絡会・安全点検
10月 親子レク・収穫祭 身体測定・安全点検・校外学習(名古屋港水族館)・授業参観
11月 卓球大会 身体測定・安全点検
12月 クリスマス会 身体測定・安全点検・大掃除・終業式
1月 親子餅つき大会 始業式・安全点検・身体測定
2月 節分 原籍校連絡会・身体測定・安全点検・参観日
3月 ひな祭 身体測定・卒業生を送る会・卒業式・安全点検・終業式

よくあるご質問

皆様からお寄せいただく、よくあるご質問を掲載しています。

Q.どのようなところですか?

児童心理療育施設とは、児童福祉法では「児童心理治療施設」と呼ばれている施設です。

 児童心理療育施設が支援の対象としているのは、心理(情緒)的、環境的に不適応を示している子どもとその家族です。子どもの対象年齢は小・中学生を中心に20才未満ですが、施設への入所・通所は子ども相談センター(児童相談所)所長が適当と認めた場合に「措置」として決定されます。
 施設は、集団生活により子どもの状況の改善を図ります。またカウンセリングなどによる心理治療を行って、子どもの成長・発達と自立を支援しています。
 また、家庭から離れて集団で過ごすことにより、家庭の中だけでは解決できない人間関係の「ずれ」や「つまずき」からのひと休みとか、心の見つめ直し、あるいは自分ってなんだろうという自分さがし、仲間との協調と思いやりの心を養うことなどをめざしています。

Q.治療とはどのようなことをするのですか?

施設全体が治療の場であり、施設内で行っている全ての活動が治療であるという「総合環境療法」の立場をとっています。具体的には 1.医学・心理治療 2.生活治療 3.学校教育 4.家族との治療協力 5.地域の関係機関との連携を治療の柱とし、医師、セラピスト(心理療法士)、児童指導員や保育士、教員など子どもに関わる職員全員が協力して一人ひとりの子どもの治療目標を達成できるよう、本人と家族をを支援していきます。

 心理治療は、セラピストが週1回50分間、同じ時間・同じ部屋で行っています。絵を描くことやゲームなど、いろいろなものを使って心の中の不安や葛藤を表現させ、それを乗り越えていけるよう手助けします。中学生ぐらいになると、カウンセリングもよく用いられます。問題を直接解決するというより、子どもの精神的な成長や子どもを取り巻く状況の改善を一緒にじっくり待つ、という場合もあります。子どもの気持ちに寄り添っていくのが基本です。一部の子どもたちには心理治療だけでなく、症状を軽くするため薬による治療も行っています。

 生活治療は保育士と児童指導員が担当します。施設にいる子どもたちのほとんどが仲間作りや集団の中でうまく適応していくことが苦手で、自分が皆から認められていないと考えていたり、自信を失っている場合もあります。このような子どもたちも、日課の中での友だちや職員とのふれあい・遊び・スポーツ・作業など、皆と一緒に行動する楽しさを通して自信を取り戻していきます。自分の殻の中に閉じこもってしまいがちな子どもには、職員が個別で関わりながら徐々に集団の中に誘います。子どものどんな小さな努力でも認め、常に「愛情の点滴」を行って励まし、自分で行動することの楽しさを引き出していくことを大切にしています。

 学校教育は施設によって地域の学校、施設内の分教室・分校など様々な形態があり、教育委員会と連絡を取り合って行っています。桜学館は地元の小・中学校の分級として、学館に措置された子どもたちだけが学んでいます。一つの学級の人数が一般の学校に比べると小規模なので、集団が苦手な子どもでも教室に入っていきやすいようです。施設内の学校でも教材は地域のの小・中学校と同じものを使っています。不登校などで学習の遅れがみられる場合は教材や教え方に工夫を凝らし、それぞれの子どものレベルに合わせて学習を進めていきます。

Q.家族の治療協力とは、どんなことですか?

子どもが施設に入るということは、家庭から離れることであり、子どもが大変寂しい思いを抱いたり、家族も「あの子は施設で大丈夫かしら」と不安を感じることがあろうかと思います。このような寂しさや不安を取り除くために、家族の方にときどき施設に来ていただいて、こどもの成長ぶりを見ていただいたり、励ましていただいたりしています。また、子どもと一緒に遊んだり、買い物など外出していただく機会をもつようにしています。
 また、職員が家族の方と面接し、それぞれの悩みを解決していくための話し合いをしたり、子どもが家庭に帰ったときにはどのような関係作りをしていったらよいのかなどを、一緒に考えていきます。
 施設に入って、親子関係が希薄になったり、子どもの居場所が家庭になくなったりすることがないよう、週末帰宅を子どもや家庭の状況に応じて行い、親子関係を再確認していただくことにも努めています。また、家族に施設内に泊まっていただき、親子水入らずの時間がもてるよう図っている施設もあります。
 施設職員だけでなく、家族の方と協力し合うことにより、子どものより良い成長と自立を促していきたいと努めています。

Q.地域関係機関との連携協力とは?

治療が終われば、子どもは施設から家庭や元の学校へ戻っていきます。このとき、地域でしっかりと受けとめてもらわなければ、同じことの繰り返しになってしまいます。このため、元の学校で受け入れ体制をしっかりと作ってもらうよう、職員が学校訪問(子ども本人を伴って行くこともあります)や電話・手紙を通して協力を依頼しています。時には前担任に施設を訪問してもらい、子どもとの関係作りをお願いしています。また、家庭に戻っていく直前に、元の学校に試験的に通ってみる試験登校を行っている施設もあります。
 他にも、子ども相談センター(児童相談所)をはじめとして地域の関係の方々に、子どもが家庭に戻って地域の一員として元気に生活でき、適応できるように支援をお願いしています。

Q.家族療法・外来相談は行っていますか?

家族療法は、児童相談所の紹介により親子で施設に通って治療を受けていただく方法です。対象は不登校や集団に適応できない、また、緘黙などの子どもとその家族です。
 治療期間は症状の程度により異なっていますが、3ヶ月〜6ヶ月を見込んでいます。中には、1年程度を要する場合もあります。
 費用は無料ですが、施設に宿泊していただく場合には、食事などの実費をいただくことになっています。
 家族療法で通っていただいているうちに、こどもを入所させて治療を受けた方がよいと考えられる場合には、施設入所に切り替えることもあります。また、入所治療が一段落し、家族療法に切り替えて通っていただくという場合もあります。
 ご希望の方は、児童相談所に申し込みをしていただき、遠慮なくご活用ください。
 また、多くの方々に施設を気軽に利用していただくため、子育てや子どもの問題行動などの相談を「外来相談」として実施している施設もあります。

Q.施設での生活・日課はどうですか?

児童心理治療施設というと、病院のベッドの生活を連想されるかもしれませんがそうではありません。
 全国の37(平成22年4月現在)の児童心理治療施設では、それぞれに工夫を凝らし、より快適に安心できる居住空間づくりをしています。各生活等や個室などで、基本的な生活習慣である食事や排泄、入浴、清掃や整理整頓の態度を育てたり、遊びや学習をする中で社会性を伸ばしたりしています。
 いわゆる心理治療を受けるだけではなく、生活をする場としての施設でもあるのです。
 日課は、子どもや職員とのふれあいの中で、実行力や自律・協調性を育てていくとともに、学習や作業活動を通して、自分の持っている豊かな可能性を伸ばしていけるように工夫しています。
 また、月間や年間を通じて、様々な行事も行っています。

遊 び

 元気よくサッカーやソフトボール、また卓球やバドミントン、バスケットボール。もちろん運動ばかりではありません。砂遊びや鉄棒などの遊具を使った遊び、手芸やTVゲーム、将棋やトランプなどのゲームをしたりしています。あるいは、のんびりとテレビを見たり好きな音楽を聴いたりしています。色々な行事を計画しています。

学習・教育

 施設内の分校・分級、または近隣の学校に通っていますが、登校ができなくて施設内で職員と一緒に学習したり、庭の草取りや園内の片づけを手伝ったり、おやつ作りをしたりなど、その子どもに合わせた作業プログラムで生活することもあります。

月間・年間行事

 誕生日会や買い物日、学園祭やキャンプ、クリスマス会。あるいは節分会やひな祭り、餅つき会などの伝承的な行事を工夫しています。
 こうした日々の暮らしの中で、対人関係が広がり深まりし、また、一人ひとりの個性を大切にしながら幅広い人間性を育てていきます。重んじながら主体性や協調性も育てていきます。

Q.進路指導や退園後の状況はどうなっていますか?

 進路指導については、近隣の学校や施設内学級などの進路指導担当者が中心となって、進学や就職の相談を行い、手続きを進めています。
 進路は今後の人生を大きく左右するので、子どもと家族の意見を尊重し、担任をはじめ施設長、担当の精神科医師、セラピスト、児童指導員、保育士などの職員が、様々な視点からよりよい方向を協議していきます。
 全国の児童心理治療施設を退所した子どものほぼ80%〜90%が、元の学校に戻ったり、進学・就職しています。多くの子どもたちが自分自身をしっかり見つめることができるようになるなど、心の健康を回復し、成長・自立しています。
 治療中途で家庭に戻った子どもや、症状が重度化した子ども、なかには入所時の年齢が高く(児童福祉施設のため、在籍は20歳未満まで)治療が中断した子どもなどについても、退園後、相談にのり、アフターケアに努めています。

利用申し込み窓口

中央子ども相談センター

中央子ども相談センター 岐阜市下奈良2-2-1
TEL:058-273-1111
中濃子ども相談センター 美濃加茂市古井町下古井2610-1
TEL:0574-25-3111
東濃子ども相談センター 多治見市上野町5-68-1
TEL:0572-23-1111
西濃子ども相談センター 大垣市禾ノ森町5-1458-10
TEL:0584-78-4838
飛騨子ども相談センター 高山市千島町35-2
TEL:0577-32-0594

さくらさくら 桜学館機関誌

季節の活動や施設の様子をご紹介

バックナンバー
No.22 令和2年6月1日発行 ダウンロード(1MB)
No.21 令和元年12月5日発行 ダウンロード(1MB)
No.20 令和元年6月1日発行 ダウンロード(1MB)
No.19 平成30年12月10日発行 ダウンロード(1MB)
No.18 平成30年6月1日発行 ダウンロード(1.3MB)
No.17 平成29年12月7日発行 ダウンロード(1MB)
No.16 平成29年6月15日発行 ダウンロード(1.9MB)
No.15 平成28年12月12日発行 ダウンロード(2.0MB)
No.14 平成28年6月25日発行 ダウンロード(1.9MB)
No.13 平成26年 6月1日発行 ダウンロード(3.0MB)
No.11 平成25年 7月1日発行 ダウンロード(1.3MB)
No.10 平成24年12月1日発行 ダウンロード(2.4MB)
No.9 平成24年 6月1日発行 ダウンロード(2.1MB)
No.8 平成23年12月1日発行 ダウンロード(2.0MB)
No.7 平成23年 6月1日発行 ダウンロード(2.2MB)
No.6 平成22年12月1日発行 ダウンロード(2.5MB)
No.5 平成22年 6月1日発行 ダウンロード(3.5MB)
No.4 平成21年12月1日発行 ダウンロード(1.5MB)
No.3 平成21年 6月1日発行 ダウンロード(1.4MB)
No.2 平成20年12月1日発行 ダウンロード(38MB)
No.1 平成20年 6月1日発行 ダウンロード(1.3MB)

関市立桜ヶ丘小・中学校分級(関市受託事業)

原稿なし

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